福島第二原子力発電所の伊澤慶昭くんの日記(コピー)

一昨日くらいから話題になっていて、応援していた「福島第二原子力発電所の伊澤慶昭くんの日記サイト」が残念ながら削除されてしまったので、あちこちのコピーサイトから引っ張ってきてまとめてみた。今日の出勤前には見れてたのに昼にはなくなっていたので、午前中に削除されたようだ。

web上では真偽の程や彼への批判も多くされてるけど、これは巷で出回っているデマやチェーンメールの類ではないと思う。仕事とは関係ない普段の日常生活を綴った、滞りがちだった日記の延長上(これも削除されてしまったけど)に書かれていたこと、企業としては重大なコンプライアンス違反であり、反響が大きくなってきた途端に削除されてしまったことなどが根拠。ただの直感だけど。

彼をはじめ、今頑張っている東電の社員の方々には敬意を表する。日記を読んで、命をかけて頑張っている彼の姿には泣かされたし、大いに共感した。自分が同じ立場でもそうしただろうと思う。でも、この日記を書いたことは、彼なりの正義であったとしても、普通の企業ならば重大なコンプライアンス違反になる。ただし、彼の批判される行動はここまで。あとは東電という企業として、従業員にコンプライアンスが徹底できていないことが問題かと思う。そして、情報収集・公開の不手際、安易な楽観主義によるトップの決断ミスで、福島と関東全域を混乱に陥れた責任は重大。彼のことは応援してるけど、会社に対する考え方は彼とは意見が異なる。

この日記に対して色々な見方があるのは当然だけど、擁護すべき対象と批判すべき対象、擁護すべき行動と批判すべき行動を混同して欲しくないなあと思う。

2011年3月15日(火) 18:44 【無事です】

おっす。

おら伊澤慶昭。
東京電力株式会社福島第二原子力発電所環境施設グループの者です。 

福島第二原子力発電所でやっと休憩もらえて、あんまり寝れないんで、日記を書くことにしたよ?

みんなは無事なんかい?


俺ぁなんとか生きてるよ??


1Fの影響がこっちまで響いて、復旧作業に支障が出てるけど、2Fはなんとか無事にやってます。

問題は食料と水ですかね??


みんないつもと比べものにならないくらい仕事してるのに水と食料はないんだよね〜。


1Fがあんなんだからこっちまで救助も来れないし、あと何日続くのかね〜〜。


1Fは・・・・作業する人もいなくなってきてるみたいだね。
親父は生きってかな・・・・・。




な〜んて暗い話ばっかしてないで、ニュースではなかなかやってくれない原発のいいニュースをお知らせします。

1Fの水素爆発が起こった1,3号機は爆発が起こった原因は水と燃料の水・ジルコニウム反応によるものです。
よって水は今も注水されているわけでであります。
水が注水され続けているうちには問題は特には起こりません。
2号機も現在は注水されています。
あとはニュースでも行われているとおりです。

2Fですが、1Fの放射線が一時かなりの量が飛んできていましたが、今はとても安定して外に出て作業できるレベルになりました。
だからといって原子力発電所特有の装備をして出ているわけで、屋内にいる人は外に出ないようにしてください。
2Fは4号機ある内、3号機はすでに冷温停止を完了しました。
1,2号機も今は冷温停止に近付いております。
4号機は注水している最中ですがまだ安心と呼べるまでに至っておりません。
私も含め、4号機への注水活動を続けておりますので、どうか皆さん無事を祈ってください。
私も無事に20歳を迎えたいと思います。
それでは
みなさん
さようなら。

2011年3月16日(水) 20:31 【いろいろなエールを頂きました。】

今日も日記を福島第二原子力発電所環境施設Gの伊澤のPCからお届けしたいと思います。

発電所付近では誰もいないことになっているので、携帯の電波はまるできません。遮断されています。
こちらでも体調不良の方や女性の方を中心に避難を始めています。
2Fから避難した方々が避難した場所で、「非難」されていないことを祈ります。

まずはコメントくださった皆様、本当に、本当にありがとうございます。細々としていたサイトがいつの間にか知らない人に知れ渡っていたんですね。(広めた奴だれや!?)
本当に力になります。涙が出ます。(最初のほうの友達のコメント信じられね〜。)
こちらでもテレビやネットで様々なエールを頂いたのを目にして、力をもらいました。

「東電社員死ね」だとか
「現場で作業してる人は偉いとかいってるけど、それが仕事で当たり前。むしろ逃げる奴なんかいたら最低だ。」とか
「たとえ逃げてきても、放射線浴びてきた奴なんか引き取らないでほしい。」とか、
「危険なんか一言も聞いたこと無かったのに、これは裏切りだ。」とか
原発に送る水、食料が勿体ないから送るな。」とか、
「たとえこの先、原発すべてが安定しても東電を許さない。特に原発所員は隔離してほしい。」とか
発電所いた奴は原発安定させたら死ねばいいんじゃない??」

だとか、とても力強いコメントを頂きました。
地域の方々、特に友達、知り合い、学校で知り合ったみんなの為に全力を尽くしてきたつもりですが、そんなことで賞賛されることではないことは分かっています。
全力を尽くして対応して当たり前。
否定できないし、しませんし、当たり前なんです。
でも頭で分かっていても、どうしようもないんです。
親父も今、連絡は取れませんが、私と同じように福島第一原子力発電所で対応しているのだと思います。親父、自分は家族からも背中を押されて、「過労死」だけ気をつけろと激励されました。もし親父が1Fで対応しているのなら、自分よりも遙かに過酷な状況で対応しているものと思われます。
母親も連絡はつきません。
もし、誰か知っている人がいたら教えてください。
家族から聞いた話では、原町で孤立状態にあるそうです。
ただでさえ薬が切れたら危ないのに・・・。
望みはほとんど捨てています。もし亡くなっていたとしても、覚悟はできています。途中、何度も助けにいきたかったけど、私情は挟むことはできません。
今は外に出れば、二度と発電所に戻ることができません。
どうか無事でいてほしいですが・・・・・。
私は親父が1Fで働いてきたこともあり、東電がこれまで地域にもたらしてきた功績がどれだけのものか、理解しているつもりで、地域住民としても感謝してきました。
そんな身近にあって尊敬する福島の原子力発電所に入りたくて希望したわけです。
でも今は状況が違います。何をしても許されることはないことは分かっています。
わたしは今日所長から頂いた言葉に感銘しました。「福島第一、第二原子力発電所所員に『人権』なし!!」
まさに今の私達はその通りです。
今私達にできることは、一刻も早く原発を安定させることです。
それまではマシーンように感情を持たず、行けといわれれば行き、無理とされることもやります。
どうか知り合いである皆さんあたたかい目で見ていてください。
2F(福島第二原子力発電所)は無事、全ての号機冷温停止に至ることができました。
今はこの先もしも電源停止や今機能している系統が機能しない事態になったとしても、他系統でカバーできるよう、作業を続けています。
2Fの安定したことのニュースなんて流れてませんよね?
少ない時間でいいので報道してほしいのに・・・・。

また11時から作業予定なので、これから寝させて頂きます。
それでは
みなさん
おやすみなさい。

2011年3月17日(木) 23:59 【夜分失礼します。】

みなさんのたくさんのコメント、見させて頂いています。

しかし、このサイトでは見られるコメントが最新の50件までなので、すべてに目を通せていないこと、誠に申し訳なく思います。

本日から私の友人が動いてくれまして、他サイトや掲示板の作成など、なるべく多くのエールを拝見させて頂けるようにしてもらっています。

また、コメントを見させて頂くうちに、返答や対応が必要だと思うものも、ちらほら見受けられたので、今日はその対応にしたいと思います。

まず一つ。
ここを発信源として、誤った情報が広まってしまっていること。

福島第二原子力発電所の1〜4号機が冷温停止しました」と伝えたつもりが、
福島第一原子力発電所の2号機が冷温停止した」という情報が飛び交っており、さらなる混乱の原因になってしまっていないか心配です。

この情報はこちらhttp://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011031500481 で確認を。

2つめ。
こういったことが現に起こっており、私としても責任をとる必要があり、仮にマスコミに
「東電社員の企業倫理はどうなってるんだ!」
と言われてしまえばそれまでなんです。
これはこれから日記で内部情報を容易に書かないよう、気をつけていきたいと思っています。

そして3つめ。
2つめでもいったことを理由に情報公開しなかったことを、「隠蔽」とされること。
私たちはできるだけ正しい情報を流せるように努力しています。
情報がほしいのは山々ですが、いまは簡単に外に流せることではないこと、分かってください。

4つめ。

「今まで国や東電のお偉いさんが、作業員にも一般の方々にも隠し事をしたきたのではないか?」

という意見がかなり飛び交っていること。
私たち現場で働く者は、本店のお偉いさん達よりも、現場のことは現場のほうが理解しているのです。
よって私たちのほうがむしろ本当に非難されるべきであり、
本店側の人達は知らない場所で起こっている知らないことについて、「情報公開しろ!」「隠蔽すんな!!」
とされていて、それでも謝り続けているのです。どうかその方達の気持ちもこれで少し分かって頂けるとありがたいです。
また、
「現場作業員は原子力や核について、知識が乏しい人が実際作業しているのか。資格は何か持っているのか。」
という質問がたまたま目に入ったので答えさせて頂くと、

単刀直入に言えば、私たち東電社員にはそういった資格はありません。
ですが、完全に半年間は「研修期間」とされ、作業には当たれません。
その後の半年間も、経験を積んだ人とペアになって学んでいます。

その他現場で作業されている方々は、
工事や作業も様々なものがあり、それぞれ専門分野の知識を持った企業さん達なので、
そういった意味では、核や原子力の知識が乏しい人がいるかもしれません。

でも今作業に尽力を尽くしている方は、決して本店の東電社員に負けない知識をもっていることは確かです。


わたしから伝えたいことはそんなところです。

あと、私ごとですが、無事、母親の安否の確認がとれました。
心配してくださった方々、協力してくれた友達、本当にありがとうございました。

また地域の皆様、やり場のない不安、怒りは私にぶつけてください。

みんながみんな応援するメッセージだと、少し不安になります。
正直に言ってくれると、こちらとしても助かります。

私自身が19歳ということもあり、ごらんになっている方も、年上の方が多く、なかなかやりにくい所もあると思います。

でも私は福島第二原子力発電所の所員であり、責任も感じています。

今日の日記はみんなの今の不平、不満がコメントにあふれるといいですね。

わたしの希望は「風呂入って、食いたい物食って、飲みたいもの飲んで、寝たいだけ寝る!」です!!(傲慢かな?笑)

そんなとこで今日の日記を締めさせて頂きます。
おやすみなさい。